別れさせ屋って本当に大丈夫?
交際していた恋人に別れを告げられ、その理由は新しい交際相手ができたとのこと。何とか恋人と復縁したいと思い、探偵業者に別れさせる工作を依頼しました。しかし、結局は失敗に終わってしまいました。担当者からの工作が本当にあったのでしょうか?確認すらできません。
このまま泣き寝入りするしかないのでしょうか。
別れさせ屋とは
別れさせるための工作や復縁を売りにして大々的に宣伝している探偵業者がいます。いわゆる「別れさせ屋」という類のものです。
別れさせ屋がいう「高い成功率」が、実際に反映した数字であるかは到底思えません。そもそも、恋愛事情に簡単に他人が踏み込めるものではありません。
別れや復縁は、人の自由意思によってはじめてなし得るものです。
あかの他人である探偵業者によって、強制できるものではありません。
契約上の問題点について
「別れさせる」「復縁させる」という結果の実現を約束したということになれば、そもそも契約が有効かという点に大きな疑問が残ります。
物理的・客観的に実現できないことを約束した場合、不能契約となります。
そもそも、実現可能性の問題や公序良俗の観点から、契約自体が無効となる可能性があるといえます。
断定的判断の提供(消費者契約法4条1項2号)
この断定的判断の提供とは、契約締結の勧誘をするに際して、事業者が消費者に対して、契約の目的となっている事項に関し、将来における変動が不確実な事項について断定的な判断を提供することによって、消費者が当該提供された断定的判断の内容が確実であると誤認した場合を指します。
なので、できるかどうかも分からないにもかかわらず、探偵業者が「できます」と確定的な説明を行った場合は、「断定的判断の提供」を理由に取り消しし、すでに、支払った代金について返還を請求することもできます。また、取り消しの意思表示の事実を残すためには、「文書による通知」を行うことがよいでしょう。
なお、消費者契約法による取り消しは、
・事実誤認に気づいた時点から半年
・契約締結時から5年で時効によって消滅
しますので、注意が必要です。
契約内容をしっかり確認すること
また、仮に、別れさせること、復縁させることに向けて、できる限りの努力をするという趣旨の契約であったとします。
そのような場合でも、
・具体的な方法
・どのようなことを行う契約
であったかという点は、はっきりさせる必要があります。
単に、探偵業者が「工作」という抽象的な説明だけではダメです。
なぜなら「工作」という言葉だけでは、さまざまに解釈することができるからです。
したがって、契約書等でその内容をしっかり確認しておく必要があるでしょう。
工作の実態について
また、別れさせ屋を利用したことは、当然、「工作」の相手(対象者)には言えるはずがありません。
つまり、依頼者としては、探偵業者がいう「工作」が本当にあったかどうかを確認することすらできないのが実情です。
工作をしているように見せかけ、架空の「報告メール」を、依頼者に送りつけている可能性すらあります。
まとめ
別れさせ屋をうたう探偵業者と契約を交わした場合、実際に工作があったことを客観的に裏付ける報告書を求めることが大切です。
また、報告書があった場合には、その内容を確認しましょう。
そこで、十分な調査活動を行っていない場合には、債務不履行による責任を追及できるものと思われます。
いずれにせよ、自由恋愛を害するような「別れ」や「復縁」を探偵業者に依頼することはオススメできません。
※ 当事務所では、「別れ」「復縁」といった工作は一切行っていません。