離婚のための知識

離婚への心構え

離婚への心構え

離婚に向けた決意が固まり、パートナーの浮気の証拠をしっかりおさえ、夫婦の共有財産の把握をできたとしても、離婚を切り出すには、まだまだやるべきことがあります。
それは、離婚後の生活設計をしてみるということです。
実際には、離婚後は別居することになるので、別居後の生活をシミュレーションすることです。
つまり、これまで一緒に暮らしてきた夫婦が別れて暮らすことになるので、生活にどのような変化が起きるのか、頭に描いてみる必要があります。
特に、専業主婦の場合は、家庭の生活費は旦那さんの収入に依存していたという場合、生活していくための費用をどのように捻出するのかを考える必要があります。
貯金や資産などのあるのならばいいのですが、そうでない場合は、新たな仕事を見つけて働くことも検討する必要があります。
離婚後は、子どもの養育費を請求することもできるのですが、それのみでは生活費や子どもの教育費をまかなえる方はごくわずかです。

お金のこと

大事なのは、パートナーに離婚を切り出す前に、別居後や離婚後の生活で必要になる「お金」のことをしっかり計算してみましょう。
また、別居する際、自分が家を出ていく場合には、どこに住居を確保するのかということも考えなければなりません。
実家にもどるという選択肢もありますが、子どもの教育環境など、さまざまな事情により、実家に戻らずに独自に家を借りるという場合もあるでしょう。
そのようなお金や住居の問題に、ある程度見通しがついた段階で、離婚に向けて本格的に動き出すことをお勧めします。
もし別居したら、あるいは、もし離婚したら、その後の生活がどのように変化するのかを把握したうえで、それを前提にして、対策を打っていきましょう。
経済的な負担が厳しくなるようでしたら、公的支援を利用する考え方もありますので、役所などに問い合わせてみるのもよいでしょう。

離婚前の別居

離婚前の別居

いよいよ離婚に向けた話し合いを始める場合、早い段階で別居をするというのが、離婚手続きを円滑に進めるためにオススメだといえます。
特に、パートナーは離婚を拒否しているものの、自分は離婚を決意している場合には、その意思をはっきりさせるという意味で、別居は効果的です。
また、夫婦が同居しながら、離婚に向けた話し合いを続けていくのは、精神的につらいものです。
離婚の意思がはっきりしているのなら、生活を別々にして、パートナーと話し合いをするのは必要最小限にとどめるというのは、精神衛生上も好ましいといえます。
さらに、別居は法律的にも重要な意味合いをもちます。もしパートナーが離婚に同意せずに裁判で離婚を争うことになった場合、別居期間の長さによって、離婚が認められるかどうか大きく作用される場合もあるのです。
実際の裁判では、別居期間の長さだけで離婚が決まるのではなく、一般的にいって、別居が長ければ長いほど、離婚が認められる可能性が高まります。

離婚の方式

離婚の方式

離婚は、どうのような手続きによって成立させるかで、主に3つの種類に分類することができます。
その3つは、「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」です。
まず、夫婦同氏で話し合いをして離婚が合意できる場合は「協議離婚」となります。
次に、当事者同士だけの話し合いをでも離婚の合意に至らなかった場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになり、これを「調停離婚」といいます。
ところが調停は、家庭裁判所で調停委員を交えて行われるものの、話し合いであることには変わらず、最終的に夫婦が合意しなければ、裁判へ移行することになります。
最終的な解決としてあるのが、裁判に訴えることになります。そして、裁判所の判決によって離婚が決まるのが、裁判離婚というわけです。
なお、最初からパートナーがまったく話し合いに応じてくれないからといって、いきなり離婚の裁判を起こすことはできません。
原則として、裁判の前に調停を経ていなければなりません。これを「調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)」といいます。
我が国日本では、一番目の協議離婚が大半を占めています。そして、調停離婚が1割ほどです。裁判離婚はもっと少なく全体の1%にすぎません。

協議離婚

協議離婚

協議離婚とは、夫と妻という当事者同士の合意によって成立するため、もっともポピュラーで簡単な離婚の方法です。
調停や裁判に比べると時間がかからないことが多く、裁判などで夫婦の間の対立が激しくなる前に離婚できるという点にメリットがあります。
夫婦の合意によってはじめて離婚が成立するため、パートナーとどのような交渉するかが、とても重要になってきます。
離婚の話し合いというと、どうしても感情的になりやすいのですが、一時的な感情に流されて離婚してしまうことがないよう、しっかりとお互いの離婚への意思を確認することがポイントといえます。
また、ただ単にその時の気持ちだけではなく、経済面や環境面なども含めた離婚後の生活をしっかり想定したうえで離婚条件についても検討し、離婚するべきかどうかを考えることが大切です。

協議離婚できめるべき内容

未成年のこどもがいるかどうかなど、夫婦が置かれた状況によって異なりますが、協議離婚をするにあたって協議すべき事項として

  1. 親権者の指定
  2. 監護についての指定
  3. 養育費
  4. 面会交流
  5. 財産分与
  6. 慰謝料

などがあげられます。
協議離婚をするにあたって重要なことは、公正証書などについても明確に協議した内容をしっかり確定しておくことです。
法的には、親権者の指定以外の事項は、離婚成立後に決めることできますが、離婚後に再び夫婦が会って、じっくり話し合いをするというのは難しく、うやむやになってしまうケースが多くあります。
そうならないためにも、必ず離婚前に親権者以外のこともしっかり話し合って協議しておくことが望ましいといえます。

協議離婚の手続き

協議離婚の届け出は、夫婦双方と証人2人以上が署名した書面でするか、これらの者全員が口頭でしなければならないとされています。
離婚届に関して注意すべき点として、作成した離婚届を相手に渡してしまうと、相手の気が変わり離婚届を出してもらえないことも考えられます。
このようなケースに備えて離婚届を2通作成して双方が提出できるよう保管しておいたほうがよろしいでしょう。

調停離婚

調停離婚

 パートナーと離婚に向けた協議をしたけど合意できなかったり、夫婦だけでは冷静な話し合いができない場合に、家庭裁判所に申し立てるのが調停です。
 調停とは、紛争解決のために、調停委員等の第三者が当事者の間に入って仲介し、合意による解決を目指す制度です。

調停申立書の記載要領

 調停を申し立てるにあたっては、「調停申立書」を作成して、家庭裁判所に提出する必要があります。
 この「調停申立書」におもに記載する事項としては、

  1. 同居開始時期および別居開始時期、子どもの有無といった当事者にかかわる事項
  2. 離婚原因
  3. 未成年者がいる場合の親権に関すること
  4. 未成年者がいる場合の養育費に関すること
  5. 財産分与に関すること
  6. 慰謝料に関すること
  7. 年金分割に関すること
  8. その他の事項

 なお、パートナーのDVが原因で別居している場合など、パートナーに今の住所を知られなくないケースの場合は、申立時に裁判所に対して、相手方に住所を知られたくないことを伝える必要があります。
 また、調停申し立て前から、すでにパートナーと別居をしていて、かつ、パートナーから十分な生活費をもらっていないような場合には、婚姻費用の分担を求める調停もあわせて申し立てることが多いです。

調停の手続き

 裁判に関する調停は、1回で終わることは少なく、一般的に3~4回程度は調停期日が開かれます。
 次の調停期日まではおおむね1か月~2か月程度の間隔が空くものだと考えておいてください。
 そのため、解決に至るまでに、ある程度の時間がかかることを覚悟しておく必要があります。
 各調停期日は、おおむね2~3時間程度かかります。
 また、調停はあくまでも当事者の合意による解決を目指すものであるため、解決に至らない場合には「不調(ふちょう)」といって調停が終わってしまう場合があります。
 実際の調停においては、調停委員を介して、パートナーとの間で解決の道を探っていきます。
 そして、解決の方向性が定まってくれば「調停事項案(ちょうていじこうあん)」を作成して、具体的な解決方法をつめていくことになります。

調停の終了

 無事に調停でパートナーと解決策について合意できた場合には、「調停調書」が作成されます。
 そして、この「調書」は確定判決と同一の効力をもちます。
 すなわち、裁判などで決定したものと同じ効力が得られるのです。
 これに対して、解決策について合意できなかった場合には、調停不成立となって調停が終了します。
 この場合には、離婚裁判を提起して、裁判で離婚を目指していくことになります。

裁判離婚

裁判離婚

 夫婦間の協議や家庭裁判所の調停でも離婚が解決しなかった場合、家庭裁判所に裁判を起こすことになります。
 裁判離婚では、夫婦の合意がなくても、裁判所が判決によって強制的に離婚を成立させることができます。
 どちらか一方に異論があったとしても、最終的に離婚するかどうか決着がつくのです。
 ただ、裁判をするためには訴状などの法的書面を作成して、相手方の法的な主張を理解して適切な反論を行う必要があり、調停と比べて、手続きは複雑になります。

離婚裁判には理由が必要

民法は、離婚裁判を提起する場合には、次の原因が離婚の理由でなければならいと定めています。

”民法が定める離婚理由”

1号 浮気、不倫(不貞行為)

配偶者のある者が配偶者以外の者と性的な関係を持つこと

2号 悪意の遺棄

正当な理由なく、他方の配偶者との同居を拒む、協力しない。他方配偶者と同一程度の生活を保障してくれない。

3号 生死不明(3年以上)

4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと

5号 その他婚姻生活を継続し難い重大な理由

性格の不一致、勤労意欲の欠如、親族との不和、暴行・虐待、アルコール依存症、薬物中毒、難病、過度な宗教活動、犯罪行為・服役など

離婚裁判の流れ

次に、離婚裁判の流れとして、

  1. 裁判所に訴訟を提起します。
  2. 期日において、当事者双方が主張・立証をします。
  3. 証人尋問が実施されます。
  4. 係争中でも、裁判所から和解案が提示される場合があります。
  5. 当事者双方が裁判所の和解案に合意すれば、和解により離婚が成立し、慰謝料等についても決定されます。
  6. 和解が成立しない場合は、裁判所が離婚の可否や慰謝料額等を判断することとなります。離婚を認める判決が出れば離婚が成立し、慰謝料額等が決定されます。
  7. 離婚を認める判決が確定すると、10日以内に、離婚届と共に判決謄本と確定証明書を添えて、市区町村役場に提出します。

※なお、判決に不服がある場合には、判決書を受けた日から2週間以内に控訴を提起することができます。

離婚の時に決めること!!

離婚の時に決めること!!

親権者以外は、離婚後に決めることも可能ですが、離婚前にしっかりと決めおくことをオススメします。

1. 親権者

親権者は、離婚届に必要な記載事項ですので、未成年の子どもがいる場合には必ず決めなければなりません。
親権の内容は、財産管理権と身上監護権の2つに分けられます。
財産管理権とは、子どもの財産管理、子どもが何らかの契約をする場合に同意を与えたり、子どもを代理したりするものです。
身上監護権とは、子どもの世話、教育したりするものです。

2. 養育費

養育費は、子どもを養育・監護しない方の親が、子どもが成人するまで養育する方の親に対して支払う必要な費用のことです。
離婚をする際に親権者を決めると同時に、支払う金額、方法、支払期間を決める必要があります。
金額については、協議して自由に決定できますが、裁判所では、原則として両親の収入及び子どもの人数と年齢によって決定し、個々の事情によってその金額を修正します。

3. 面会交流

面会交流とは、子どもと、子どもを養育・監護していない方の親が面会、交流するというものです。
面会の頻度と方法などで、詳細に決める必要があります。

4. 財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦がともに築いた財産を、公平に分配するという制度です。
財産分与の対象となる最も高額な財産は、自宅の土地と建物だということはよくあります。

5. 慰謝料

不倫や暴力などによって、夫婦のどちらか一方に精神的な損害が発生している場合には、慰謝料についても決める必要があります。
金銭の話しになるので、財産分与に上乗せしたり、養育費の支払額を増額したりといった形で取り決めされることがよくあります。

6. 婚姻費用

婚姻費用というのは、日常生活を送る上で必要になる費用のことで、別居をした際によく問題になります。
夫婦間の扶養義務は、子どもに対する扶養義務と同じで、義務者に余裕があるか否かにかかわらず、権利者が義務者と同程度の生活を維持できるようにする必要があります。

7. 公正証書

1~6について取り決めした後は、必ず公正証書を作成しましょう。

特に、養育費などの金銭の給付に関する事項がある場合には、「取り決めのとおりにお金を支払わなかった場合には、強制執行されても異議はありません」という文言が記載された強制執行認諾約款付公正証書を作成しましょう。制執行認諾約款付公正証書があれば、養育費などの支払いが滞った場合には、いきなり給料を差押えることもできます。

いかがでしょうか。
このページでは、離婚の種類、流れや離婚前、離婚後に決めるべきことについて、お話させていただきました。
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